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【ホテル・旅館業界の事業承継】成功のポイントと今後の展望

はじめに

ホテル・旅館業界では、経営者の高齢化や市場競争の激化により、事業承継(譲渡・売却)のニーズが高まっています。特に、コロナ禍からの回復期を迎えた今、事業の継続や成長を図るために、適切な承継計画を立てることが重要です。本記事では、ホテル・旅館業界における事業承継の最新動向や課題、成功のポイントについて詳しく解説します。

【記事提供:株式会社たすきコンサルティング】
中小企業の事業承継を支援するM&A仲介会社であり、約20年の財務コンサルティング実績を有する。公認会計士や税理士、中小企業診断士などの専門家が在籍し、全国規模で中小企業のM&Aをサポートしております。 
※中小企業庁「M&A支援機関登録制度」登録済
※中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について

ホテル・旅館業界の概要

ホテル・旅館業界とは、宿泊施設を提供するビジネス全般を指し、国内外の観光客やビジネス利用客を対象にサービスを提供する業界です。国内における宿泊施設の形態は多様であり、それぞれ異なるターゲット層や運営方法が存在します。

ホテル・旅館業界の市場環境

日本国内のホテル・旅館業界は、観光産業の柱として重要な役割を果たしています。しかし、以下の課題が事業承継の障壁となっています。

業界の現状と課題

日本国内のホテル・旅館業界は、観光産業の柱として重要な役割を果たしています。しかし、以下の課題が事業承継の障壁となっています。

  • 経営者の高齢化:全国の宿泊施設経営者の平均年齢は約65歳。後継者不足が深刻。
  • 市場競争の激化:大手ホテルチェーンの進出により、個人経営の旅館や中小規模ホテルの競争が厳しくなっている。
  • 法改正への対応:建築基準法や旅館業法の改正に伴う設備投資が経営の負担に。
  • 人手不足の深刻化:宿泊業界全体での人手不足が進み、経営の持続可能性が課題。

事業承継が求められる背景

ホテル・旅館業界では、以下の理由から事業承継が急務となっています。

  • 経営者の引退:65歳以上の経営者が全体の60%以上を占めており、後継者選びが不可欠。
  • インバウンド需要の回復:2023年には訪日外国人旅行者数が2019年比で90%回復。売却を検討する経営者にとって好機。
  • 経営負担の増大:宿泊業界では、老朽化した施設の修繕・改修が必要となるケースが多く、設備投資の資金確保が困難。

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」

事業承継の選択肢

親族内承継

経営を親族に引き継ぐ方法。日本ではこの形態が多く見られますが、近年では後継者不在が課題となっています。

社内承継

信頼できる従業員に事業を引き継ぐケース。従業員の経営スキルを育成し、段階的な承継を行うことが求められます。

M&Aによる第三者承継

外部企業や投資家への売却を通じて事業を存続させる方法。特に、以下のメリットが期待できます。

  • ブランド力の向上:大手企業と統合することで集客力を高めることが可能。
  • 資金調達の円滑化:新たな資本の導入により、設備投資やマーケティング強化が可能に。
  • 従業員の雇用維持:M&Aによる経営基盤の強化で、従業員の雇用が守られる。

ホテル・旅館業界のM&Aの流れ

1. 事前準備

  • 財務状況の整理:資産・負債の棚卸しを実施。
  • 事業価値の評価:市場価格と比較し、適正な企業価値を算出。
  • 承継方法の検討:親族・社内・M&Aの選択肢を精査。

2. 買い手の選定とマッチング

  • ホテルチェーン:ブランド統合や業務効率化を図る目的で買収。
  • 外資系投資ファンド:訪日外国人観光の回復を見据えた投資対象。
  • 地方自治体・地域企業:地域活性化を目的とした事業承継のケースも増加。

3. 基本合意とデューデリジェンス(企業調査)

  • 財務・法務デューデリジェンス:キャッシュフロー、債務、契約状況を精査。
  • 事業デューデリジェンス:顧客基盤、マーケティング戦略の評価。

4. 最終契約の締結

  • 売却価格の決定:企業価値を適正に評価し、合意形成。
  • 従業員の処遇調整:雇用条件や労働環境の調整。
  • 営業許認可の引き継ぎ:旅館業法に基づく許可の手続き。

5. PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)

M&A成立後の統合作業。

  • 運営システムの統合:予約管理・会計システムの移行。
  • 顧客データの共有:既存顧客へのサービス継続を確保。
  • 従業員の研修:新体制での業務スキル向上をサポート。

事業承継を成功させるポイント

1. 事業価値の適正評価

ホテル・旅館の価値を正しく評価し、適正な売却価格を設定。

2. 早期の準備

少なくとも3~5年前から事業承継の計画を立て、後継者育成や財務の整理を実施。

3. 専門家の活用

税理士・M&Aアドバイザー・法律専門家と連携し、最適な承継戦略を策定。

ホテル・旅館業界M&Aの今後の展望

コロナ後の収益回復とM&A市場の活性化

コロナ禍からの回復により、ホテル・旅館業界の収益性が向上しており、M&Aの市場価値も高まっています。売却を検討する経営者にとっては、今が好機と考えられます。

  • 宿泊単価の上昇により、利益率が向上
  • 投資家や事業会社の関心が増加し、M&Aが活性化


環境配慮型ホテルの台頭

サステナビリティへの関心が高まる中、環境に配慮したホテル経営が求められ、これに対応できる企業が成長する可能性があります。

まとめ

ホテル・旅館業界の事業承継は、経営課題の解決や成長戦略の一環として重要な選択肢です。特に、後継者不足や法改正の影響を踏まえ、親族承継・社内承継・M&Aなどの選択肢を慎重に検討することが求められます。

2024年の法改正を控え、事業承継を考える経営者にとって、今が最適なタイミングであることを認識し、計画的な準備を進めることが重要です。


■ 担当コンサルタント紹介

たすきコンサルティングでは、ホテル・宿泊業界に精通した専門コンサルタントが、貴社のニーズに合わせた最適な事業承継支援を提供しております。後継者選定から経営資源の引継ぎまで、専門的なサポートで貴社をバックアップいたします。

業界特化法人部 コンサルタント
町田 大志

北海道大学を卒業後、同大学院に進学し研究に従事、修士号を取得。2021年4月に新卒で、たすきコンサルティングに入社。入社後3年半で、多数の成約を経験。



■ 譲渡(事業承継)に関するお問い合わせ

ホテル・宿泊業界を取り巻く環境は大きな変化を迎えています。人材不足や市場競争の激化、事業承継の課題など、多くの経営者様が将来への不安を抱えていらっしゃいます。
事業の譲渡や承継についての第一歩は、専門家への相談から始まります。情報収集や自社評価など、ぜひお気軽にお問い合わせください。下記フォームより、必要事項をご記入の上送信いただければ、迅速にご対応させていただきます。


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