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LPガス業界のM&A、事業承継の動向!メリットや課題のポイントを解説

近年、LPガス業界を取り巻く環境は急速に変化しています。人材不足や高齢化、競争激化、そして事業承継の課題——こうした問題に直面しながらも、多くの経営者が次の一手を模索しています。
本記事では、LPガス業界の現状や事業承継の重要性、そして事業譲渡やM&Aがもたらす可能性について深掘りしていきます。経営の不安を解消し、次世代へと事業を繋ぐヒントをぜひご覧ください。

【記事提供:株式会社たすきコンサルティング】
中小企業の事業承継を支援するM&A仲介会社であり、約20年の財務コンサルティング実績を有する。公認会計士や税理士、中小企業診断士などの専門家が在籍し、全国規模で中小企業のM&Aをサポートしております。 
※中小企業庁「M&A支援機関登録制度」登録済
※中小M&Aガイドライン(第3版)遵守の宣言について


1. LPガス業界とは?

LPガス(液化石油ガス)は、プロパンやブタンを主成分とするエネルギー源で、日常生活や業務用として幅広く使用されています。石油精製や天然ガス採取の過程で生成され、環境への負荷が少なく、高効率なエネルギー供給が可能です。
LPガス業界は、エネルギー供給の重要な役割を担う業界で、ガスの生産、供給、販売、保守を行う企業が含まれます。小規模な家族経営の事業者から大規模な企業まで幅広いプレーヤーが存在しますが、地域密着型の経営が多く、地域ごとの特性に強く依存しています。

2. LPガス業界の現状と課題

LPガス販売事業者数の推移

過去10年間で販売事業者数は約5,000者減少。 減少ペースが継続すると2030年には12,000社にまで落ち込む可能性があると言われております。

※経済産業省「全国の販売事業者数・保安機関数等」より作成

人材不足の課題

LPガス業界は深刻な人材不足に直面しており、特に若い世代の労働力が不足し、従業員の高齢化が進行しています。平均年齢は51.5歳と全業種平均より10歳高く、若年層の定着が課題です。

地域市場の競争激化

都市部では都市ガスやオール電化が進む一方で、地方部では限られた住戸数を巡り激しい競争が展開されています。電力・都市ガス自由化の影響により競争環境がさらに厳しくなっています。
LPガスは電気を抜いて最も割高なエネルギーとされ、 価格を最重要視する消費者にとって、LPガスを選択する理由が希薄化しつつあります。
また、2016年の電力自由化、2017年の都市ガス自由化を受けてプレーヤー数が増加。 限られた住戸数を巡り、今後更なる競争の激化が予想されます。

家族経営の課題

多くの事業者は家族経営であり、後継者不在が主な課題として挙げられます。経営者の約6割が60代以上であり、事業承継が困難な状況です。

経営環境の悪化

エネルギー価格の上昇や暖冬による需要減少が経営に影響を及ぼしています。これが新事業への無計画な参入を引き起こし、財務悪化に繋がる事例も少なくありません。

労働負担の過多

保安業務を外注していない事業者では、24時間365日体制での対応が求められることが多く、経営者や従業員の負担が大きくなっています。

3. LPガス業界のM&A動向

業界再編の加速

LPガス業界では、競争激化や規制強化を背景に業界再編が進行しています。中堅・大手企業による積極的なM&Aにより、地域の中小事業者が大手に統合されるケースが増えています。

人材不足の補填

人材不足を解決する手段として、他社との統合や買収が選ばれるケースが増えています。

財務状況の改善

債務超過に陥る前に事業売却を選択し、企業の存続可能性を確保する動きも見られます。

M&Aの事例

近年ではエコアによる狩場ガス住機の子会社化(熊本県)や東邦ガスによるヤマサの買収(愛知県)など、地域密着型の事業者を対象としたM&Aが目立ちます。

4.LPガス業界のM&A事例

東邦ガスによるヤマサの子会社化(2017年4月)

東邦ガス株式会社は、株式会社ヤマサホールディングスが所有する株式会社ヤマサの全株式を取得し、子会社化しました。これにより、LPガス事業の強化と地域密着型サービスの充実を図っています。
※参考:株式会社ヤマサの株式の取得(子会社化)に関するお知ら

TOKAIホールディングスによるフジプロの子会社化(2024年3月)

TOKAIホールディングスは、神奈川県茅ヶ崎市に拠点を置くLPガス販売会社フジプロを買収し、子会社化しました。この買収により、同社は神奈川エリアでの事業基盤を強化し、営業・配送・保安業務の効率化と相乗効果の創出を目指しています。
※参考:株式会社フジプロの株式取得に係る契約締結のお知らせ

岩谷産業による東京ガスエネルギーの買収(2022年4月)

岩谷産業株式会社は、東京ガス株式会社の子会社である東京ガスエネルギー株式会社の全株式を取得し、完全子会社化しました。これにより、LPガスの安定供給や営業効率化、物流の合理化など、さまざまなシナジー効果が期待されています。
※参考:岩谷産業株式会社との株式売買契約の締結について

カメイ株式会社による最上ガス株式会社の全株式取得(2019年1月)

カメイ株式会社は、山形県新庄市に本社を置く最上ガス株式会社の全株式を取得し、完全子会社化しました。最上ガスは、LPガスおよび灯油の小売業、並びに配管工事業を営んでおり、今回の買収により、カメイグループのホーム事業の強化が図られました。
※参考:最上ガス株式会社の株式取得に関するお知らせ

5. M&Aのメリットとデメリット

メリット

  • 業務の継続性: M&Aを通じて事業の安定した運営が可能になります。
  • 経営負担の軽減: 資本力のある企業に経営を委ねることで、経営者の負担が軽減されます。
  • リソースの獲得: 専門知識や資金へのアクセスが容易になります。

デメリット

  • 経営自由度の低下: 統合後の意思決定権が限定される可能性があります。
  • 交渉の困難さ: 適切な条件での合意を得るまでに時間がかかります。
  • 文化の違いによる摩擦: 統合後の社内文化の違いが問題になることがあります。

6. 2025年法改正への対応

2025年4月の法改正では、保安基準の強化や省エネルギー対策の義務化が進む予定です。この変化に対応するためには、以下の対策が重要です。

  • 保安体制の整備: 法改正に対応した保安基準をクリアするための設備投資。
  • 省エネ技術の導入: エネルギー効率を向上させるための技術やサービスの採用。
  • コンプライアンスの徹底: 法規制に基づいた経営方針の見直し。

※「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」

7. 注意点と成功の秘訣

M&Aを進める際には以下のポイントに留意する必要があります。

  • 情報漏洩の防止: 秘密保持契約を締結し、交渉過程での情報流出を防ぎます。
  • 適正な企業価値評価: 専門家による事業価値の公正な評価を行います。
  • 経営課題の事前解決: 買収後のトラブルを防ぐため、事前に課題を洗い出し、対処します。

8. まとめ

LPガス業界における事業承継やM&Aは、課題解決と成長の機会を同時に提供します。特に現在の業界環境においては、積極的な戦略を持つことが重要です。専門家のアドバイスを活用し、未来を見据えた判断を行いましょう。さらに詳しい情報や個別の相談については、信頼できる専門家への相談をお勧めします。


■ 担当コンサルタント紹介

たすきコンサルティングでは、LPガス業界に精通した専門コンサルタントが、貴社のニーズに合わせた最適な事業承継支援を提供しております。後継者選定から経営資源の引継ぎまで、専門的なサポートで貴社をバックアップいたします。

業界特化法人部 シニアコンサルタント
古川 龍也

京都大学大学院卒、メガバンクに入行し、法人融資・企業調査業務に従事。グループ証券会社に出向し、M&A業務を経験。2021年1月にたすきコンサルティングに入社し、多数の会社を成約に導く。



■ 譲渡(事業承継)に関するお問い合わせ

LPガス業界を取り巻く環境は大きな変化を迎えています。人材不足や市場競争の激化、事業承継の課題など、多くの経営者様が将来への不安を抱えていらっしゃいます。
事業の譲渡や承継についての第一歩は、専門家への相談から始まります。情報収集や自社評価など、ぜひお気軽にお問い合わせください。下記フォームより、必要事項をご記入の上送信いただければ、迅速にご対応させていただきます。


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